技術とコンテンツ / Technology and Contents

東京大学工学部 機械情報工学科

令和4年度(2022) 開講概要

映像, メディア , コンピュータ・グラフィックス・デザイン, 建築設計など, 理系文系を問わず技術とコンテンツの両方に何らかの関わりがある, さまざまな分野でご活躍の方々から , オムニバス形式でお話をうかがう.

講義は遠隔開催とし,Zoomでおこなう.講義に対する質問もZoomのチャットで受け付ける.参加用のZoomのアドレスはUTASを参照のこと.

Twitterでの公式ハッシュタグは#技術とコンテンツ(講師がSNS投稿にNGを出さない回については積極的な投稿を期待しています.)

評価方法

全13回の講義中, 8回以上出席した者を有資格者として, レポートで評価を行なう.レポートの締切,内容についてはオムニバス最終回にて告知する.

担当

日時・場所

日程・講師

第1回
4月 6日(水)
葛岡 英明
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
「技術とコンテンツ」
講義全体の概要,オンライン講義と出席登録の方法等,およびCSCWとコンテンツ研究について紹介する.
第2回
4月 13日(水)
大澤 博隆
慶應義塾大学理工学部管理工学科 准教授 / 筑波大学システム情報系 客員准教授

宮本 道人
科学文化作家,応用文学者
「SFを用いたイノベーション探索の最前線」
SF(Science Fiction、 Speculative Fiction)は人々を楽しませるだけでなく、先端科学技術に関わる人々の想像力を刺激し、様々な問題に気づかせ、イノベーションを生む土台となってきた。イノベーターや研究者も、アイデアの源泉としてSFを挙げることが多い。昨今では、こうしたSFの力をイノベーション創発に応用する「SFプロトタイピング」「SF思考」が注目を集めている。本講義ではSFとイノベーションの相互作用の歴史と現状を述べ、特に最先端技術にどのようにSFが関わってきたかを、人工知能とSFの分析結果から述べる。また、三菱総研との共同研究のもとに作成した、誰も予想していない未来を創り出すワークショップの紹介を行う。

大澤博隆 略歴:2009年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。2022年より、慶應義塾大学理工学部管理工学科准教授/筑波大学システム情報系客員准教授、HAI研主宰者。ヒューマンエージェントインタラクション、人工知能の研究に幅広く従事。共著および分担執筆に『人狼知能』『人とロボットの〈間〉をデザインする』『AIと人類は共存できるか』『信頼を考える』『SFプロトタイピング』など。監修に『SF思考』など。人工知能学会、情報処理学会、日本認知科学会、ACM等会員、日本SF作家クラブ理事。博士(工学)。

宮本道人 略歴:1989年生、博士(理学、東京大学)。株式会社〆空想科学顧問、株式会社BIOTOPE SF顧問、株式会社グローバルインパクト未来創出顧問。編著『SF思考』『SFプロトタイピング』『プレイヤーはどこへ行くのか』。原作担当漫画「Her Tastes」は2020年、国立台湾美術館に招待展示。AI学会誌、VR学会誌、ダイヤモンド・オンラインで連載、『ユリイカ』『現代思想』『実験医学』『本格ミステリー・ワールド』に寄稿など。
第3回
4月 20日(水)
中嶋 浩平
東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授
「タコ腕計算機:やわらかいマテリアルの情報処理能力について 」
Reservoir Computing (RC)は、リカレントニューラルネットワークの研究により発展してきた機械学習法・情報処理手法の一つである。この手法では、ネットワーク内部の結合を調節せずにリードアウトの結合のみを最適化するため、任意の大自由度力学系を情報処理に活用することが可能となる。この点に着目し、近年、物理系のダイナミクスを情報処理デバイスの一部として活用する手法である、Physical Reservoir Computing (PRC)の研究が盛んに行われている。この技術は、物理系自体のダイナミクスが計算資源として活用できるため、エネルギー効率の向上ならびに計算労力の削減が期待され、次世代ニューロモーフィックデバイス技術として注目を集めている。本発表では、特に、この技術がやわらかいマテリアルでできたロボット(ソフトロボット)と組み合わされるとき、極めて有効に、その物性特有の威力を発揮することを見ていく。特に、タコ腕計算機の実装例を通して、やわらかいマテリアルの多様なダイナミクスは、それ自体が計算機として活用でき、制御を埋め込むことができることを示す。また、より一般的な見地から、PRCの手法の可能性についても議論する。

略歴:2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。以降,チューリッヒ大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)にてポスドク、JSPS海外特別研究員を経て、2014-17年まで京都大学白眉センターにて特定助教。また、2015-19年までJSTさきがけ研究員(兼任)。2020年より,東京大学大学院情報理工学系研究科にて准教授。専門は非線形力学系、(物理)リザバー計算、身体性ロボティクス、ソフトロボティクスなど。

第4回
4月 27日(水)
草野 絵美
株式会社 Fictionera 代表取締役 / アーティスト / 東京藝術大学非常勤講師 / 歌謡エレクトロユニット「Satellite Young」歌唱担当・主宰
「NFTアートとWeb3の可能性」
ブロックチェーン技術によりオリジナル性が担保されたNFTアートはこれまでデジタルの世界ではありえなかった「保有」の概念を生み出した。これにより、デジタルアートの価値観が一変した。さらにはアーティストの在り方まで変わろうとしている。 投資目的以外だけでなく、コミュニティチケットとしてのユーティリティー、アーティストが資金を調達しやすくなったなど画期的な仕組みであることを、コミュニティー運営者であり、実践者の講師が伝えたい。

略歴::1990年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。株式会社 Fictionera代表取締役。アーティスト、東京藝術大学非常勤講師、歌謡エレクトロユニット「Satellite Young」歌唱担当・主宰。音楽を中心に、未来のテクノロジーに対して問いを立てるインスタレーション等を手がける。2人の子どもを持ち、数々のメディアで子育てに関するエッセイ執筆やインタビューを受ける。子育てをプロジェクト化し、親子で一緒に高めあうことを目指している。 また、「こどものいのちはこどものもの」のメンバーとして児童虐待防止の啓発活動を行う。2021年、当時8歳の長男のNFTアートプロジェクト「Zombie Zoo」が世界中のアートコレクターたちの目にとまり、最高4ETH(160万円相当)で取引される。息子のコレクションをきっかけに、Web3の世界に飛び込み、マネジメント、ロードマップ策定、IP展開などあらゆる戦略等を行う。2022年には、自身がクリエイティブディレクションを手がけたNFT作品「Shinsei Galverse」プロジェクトもスタートされた。 NHK「令和ネット論 」NFT編の講師を勤める。

第5回
5月11日(水)
豊田 啓介
東京大学生産技術研究所 特任教授 / 建築家
「空間のデジタル記述とコモングラウンド」
技術の進展により、様々な形のデジタルエージェントが日常生活に入り込み、それらのための空間や物体認識、属性記述に関わる仕様の体系化が喫緊の社会課題となっている。それらのうち特に動的な空間記述体系としてのゲームエンジンの特性に着目し、人とデジタルエージェントの間の汎用空間記述体系である、『コモングラウンド』の概念及び必要性について解説する。

略歴:1972年、千葉県出身。1996~2000年、安藤忠雄建築研究所。2002~2006年、SHoP Architects(ニューヨーク)。2007年より東京と台北を拠点に建築設計事務所noiz で、コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れた設計・開発・リサーチ・コンサルティング等の活動を、建築やインテリア、都市、ファッションなど多分野横断型で展開。2017年「建築・都市×テック×ビジネス」がテーマの域横断型プラットフォーム gluonで活動。2025年大阪・関西国際博覧会 誘致会場計画アドバイザー(2017年~2018年)。建築情報学会副会長(2020年~)。大阪コモングラウンド・リビングラボ(2020年)。東京大学生産技術研客員教授(2020年)に着任、2021年10月より現職。

第6回
5月 18日(水)
佐々木 隼
ゲーム作家 / オインクゲームズ代表

稲垣 敬子
オインクゲームズ
「『おもしろい』を作る、ボードゲームのUXデザイン」
カードやコマといったアナログのモノと、ルールによって構成されるメディアであるボードゲーム。日本発のボードゲームブランドとして世界にもファンを作り続けてきた講師が、「おもしろい」をゴールとしたゲームのルールを考える際のポイントから、製品として完成させるまでの複合的なデザインの考え方まで、ボードゲームのUXデザイン・UI設計についてお伝えします。また、アナログからデジタルへとメディアを移したボードゲームのUIデザインについても紹介します。

佐々木 隼 略歴:2000年 国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒。金沢美術工芸大学非常勤講師。Eテレなどのコマ撮りアニメーション制作、コンソール系ゲーム開発などを経て、2010年オインクゲームズを設立。同社が開発する多くのゲームのディレクション、ゲームデザイン、アートワークを手がける。

稲垣 敬子 略歴:東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了/東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携プログラム修了。総合事務機器メーカーにて8年勤務後、オインクゲームズでボードゲームの制作・販売などを担当。4才男児の母。

第7回
5月 25日(水)
新山 龍馬
明治大学理工学部 専任講師
「フューチャーロボット」
やわらかさを積極的に取り込もうとするソフトロボティクスを主軸に、生物規範型ロボットやソフトロボット研究の動向を解説する。これからのロボティクスにつながるヒントとして取り上げるのは、人工筋肉で動く筋骨格ロボット、おりがみロボット、インフレータブルロボットなどである。また、研究者になる方法、大学教員とはどういう職業なのかについても触れる。

略歴:ロボット研究者。東京大学大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 講師。東京大学工学部を卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了、博士号取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)にて研究員(コンピュータ科学・人工知能研究所、メディアラボ、機械工学科)を経て、2014年より現職。専門は、身体に根ざした知能、人工筋肉で動作する生物規範ロボット、およびソフトロボティクス。
第8回
6月 8日(水)
上岡 玲子
(株)zeroinon 代表取締役社長 / 東京大学先端科学技術研究センター先端研客員研究員
「reframe technology through subjectivity 〜主観を通して技術を捉え直す〜」
User Experienceの研究では人の身体や心理的特性を活かし人に寄り添ったシステムを実現する試みが行われています. 人に寄り添ったシステムを創造する時の一番のユーザーは自分ですが,ともするとシステム作りのプロセスで客観性が優先され,「私」という視点が忘れられてしまうことも多いのではないでしょうか. 授業では,私という主観を軸にして作られたシステムが他者とどう共有され社会に適用されるのか,これまでの研究内容や,現在起業して開発中のサービスを通した気づきや学びについてみなさんと共有できればと思います.

略歴:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後,NTTヒューマンインタフェース研究所,米国衛星通信会社PanAm-Sat勤務を経て 2003年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻修了 (博士(工学)). 東京大学先端科学技術研究センター特任助教,産業技術総合研究所産総研特別研究員,九州大学大学院芸術工学研究院准教授を経て 2020年,九州大学を退職し,UX研究の社会実装を目指し起業. 2021年,テレプレゼンス技術の応用プラットフォーム企業として(株)zeroinonを設立. 東京大学先端科学技術研究センター社会連携研究部門モビリティゼロプロジェクト客員研究員兼務. 空間型コンピュータとしての主観的体験に特化したウェアラブルコンピュータの研究,技術とファッションを融合させた機能衣服・e-textileの研究, 身体や意識を拡張,顕在,制御することを目的としたインタフェースの研究に従事. 情報処理学会インタラクション・インタラクティブ発表賞(2019,2020),バーチャルリアリティ学会論文賞(2013)グッドデザイン賞(2011),IEEE Int’l Symposium on Wearable Computer Juries Design Award(2008)等受賞,
第9回
6月 15日(水)
鈴木 莉紗
日本放送協会 映像デザイン部デザイナー

伊藤 崇仁
日本放送協会 放送技術局エンジニア
「NHKの番組デザイン ーバーチャル技術を使った放送コンテンツー」
NHKでは「紅白歌合戦」や「東京2020オリンピック・パラリンピック」などの番組で、さまざまなバーチャル技術を用いてスタジオセットのデザインやコンテンツ制作を行いました。番組におけるデザインコンセプトの立ち上げから実装まで、コンテンツ制作の過程を紹介します。

鈴木 莉紗 略歴:2006年武蔵野美術大学建築学科卒。イギリスにて1年留学したのち2009年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。2009年NHK入局。番組にまつわるデザインを行う。主な担当番組は、NHK紅白歌合戦、東京2020オリンピック・パラリンピック、うたコンなど。

伊藤 崇仁 略歴:2007年東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。同年NHK入局。2016年~2017年MITメディアラボ客員研究員としてVR研究に従事。東京2020オリンピック・パラリンピックのARシステム・コンテンツ開発を担当するなど、主にAR/VRを中心としたリアルタイムCG分野の映像表現を手掛ける。
第10回
6月 22日(水)
三好 賢聖
日本学術振興会特別研究員PD(慶應義塾大学)/ Studio POETIC CURIOSITY 共同主宰
「動きのデザインリサーチ、詩的好奇心」
英国ロイヤルカレッジオブアート・デザイン学科で行ったPhDについてと、Studio POETIC CURIOSITYにおいて詩的好奇心をテーマに行っている制作活動についてお話します。

略歴:デザインの実践と身体感覚の探索によるデザインリサーチを専門とする研究者・デザイナー。東京大学にて航空宇宙工学を専攻後、英国・ロイヤルカレッジオブアートにおいてPhDを取得(2020)。動きと物理現象に対する共感のデザインに関する研究に従事し、ドイツ・アンハルト大学(PhD第二指導教員の所属機関)において最優秀博士論文賞。スイス・ビルクハウザー社より、単著『Designing Objects in Motion: Exploring Kinaesthetic Empathy』を出版(2020)。帰国後、東京大学生産技術研究所デザインラボでの勤務を経て、現在は慶應義塾大学において研究を行う。青沼優介と共に実験的デザインスタジオStudio POETIC CURIOSITYを共同主宰。IPA未踏スーパークリエータ(2014)。スイス・ザンガレンシンポジウムよりLeaders of Tomorrow選出(2020)。
第11回
6月 29日(水)
齋藤 達也
慶應大学大学院メディアデザイン研究科 特任准教授
「産業における個人のクリエイティビティと越境性」
TBA

略歴:
第12回
7月 6日(水)
小沢 かな
漫画家 / イラストレーター

宮内 彬起
株式会社KADOKAWA COMIC BRIDGE編集部
「空の飛び方 リアルとエンタメの境界線」

現実の世界を取材をして得た情報をいかにフィクションであるストーリー漫画に落とし込むか、その過程での取捨選択や担当編集者と実際どのようなやりとりをしながら一つのコンテンツを作り上げるかを紹介する。


小沢かな略歴:漫画家。イラストレーター。 大学時代に自家用操縦士(上級滑空機)の資格を取得。空に関する作品を多く手がける。 現在気象災害を題材にした『BLUE MOMENT』をCOMIC BRIDGE (KADOKAWA)にて 連載中。既刊2巻。 自身の体験を元にした『ブルーサーマル- 青凪大学体育会航空部-』全5巻(新潮社刊)が 2022年劇場アニメ化。2018年VR映画化。 その他著書『ブルーサーマル FIRST FLIGHT』(新潮社刊)『野々宮月子はいつも眠い』全 3巻(講談社刊)。気象絵本『せきらんうんのいっしょう』『ろっかのきせつ』(ジャムハウ ス刊/イラスト担当)
Twitter: @kana_ozawa_blue

宮内 彬起 略歴:株式会社KADOKAWA コミック第2統括部第4編集部 COMIC BRIDGE編集部 編集長
2011年メディアファクトリー(合併により現KADOKAWA)入社。営業、経営管理などを経てコミック編集に。
第13回
7月13日(水)
鳴海 拓志
東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授
「コンテンツがあなたを作る」
体験が人の感覚や行動,そして心や思考を変えていく影響について,VRやARでの研究の実例を通じて議論する.

略歴:東京大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻准教授.博士(工学).バーチャルリアリティや拡張現実感の技術と認知科学・心理学の知見を融合し,限られた感覚刺激提示で多様な五感を感じさせるためのクロスモーダルインタフェース,五感に働きかけることで人間の行動や認知,能力を変化させる人間拡張技術等の研究に取り組む.